平成27年度総会及び講演会開催の報告

 午前中の理事会・評議員会において、平成26年度の事業報告や会計報告、平成27年度の事業計画や会計予算が承認されました。
 午後から平成27年度の総会及び講演会を下記のように開催いたしました。
会員の参加による総会では、田口会長のあいさつの後、理事会・評議員会で承認された平成26年度の事業報告や会計報告、平成27年度の事業計画や会計予算が報告されました。
 その後の講演会は、会員以外の参加希望者も加えて行われました。  

総 会

日 時
 平成27年5月26日(火) 12:40 〜 13:00
場 所
 岐阜県図書館 1F 多目的ホール 岐阜市宇佐4-2-1
議 題
 1.平成26年度 事業実績報告について
 2.平成26年度 収支決算報告について
 3.平成27年度 事業計画について
 4.平成27年度 収支予算について

講演会


日 時
 平成27年5月26日(火) 13:30 〜 15:00
場 所
 岐阜県図書館多目的ホール 岐阜市宇佐4-2-1
演 題
 「認知症治療と地域における役割」
講 師
 田口真源先生(大垣病院院長)
講演の概要
 (1)西濃地区における認知症の地域連携と「オレンジ手帳」の活用
    平成22年の東日本大震災の後、厚生労働省は日本精神科病院協会に「被災地支援につな
  がるモデル連携パスの作成に関する調査」を委託し、同年岐阜県は岐阜県医師会に「認知症
  連携支援モデル事業」を委託しました。西濃地区ではこの2つをコラボして、地域連携パス「オ
  レンジ手帳」を作成しました。
   オレンジ手帳は認知症医療支援センター(大垣病院内)が、かかりつけ医から依頼を受けて
  発行します。お薬手帳のようなイメージで、患者の情報を交換しながら、緩やかな連携をめざし
  ます。他の医療機関にかかっても手帳の情報で適切な治療を受けることができます。大垣市
  医師会ではオレンジ手帳をダウンロードできるようにし、さらに独自にオレンジマップを作成し
  ました。これは病院とクリニックが認知症に関してどのような医療サポートができるかを一覧に
  したものです。
   地域連携は限られた地域で小規模にやるのではなく、広い地域で普及させることが必要です。
  現在オレンジ手帳の仕組みをいろいろなところで取り組んでいただいています。自治体の境界
  に縛られず、医療圏を越えて移動する患者の情報が共有できれば、大規模災害等で地域シス
  テムの崩壊、情報の散逸があっても最低限の対応ができます。広域で普及するには情報ツー
  ルとして、どこでも使える標準化ツールとすることが必要です。
 (2)アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の周辺症状
   アルツハイマー型認知症は、脳幹部海馬付近から変成と言って神経が死んでいくことから始
  まることが多く、これが頭頂部におよんだ時に右頭頂葉の血流が低下し、「物盗られ妄想」が
  起こってくると現在考えられています。「財布など大事な物をしまった」というエピソード記憶をす
  べて忘れてしまいます。自分でどこかにしまった認識がないため、接触が多い身近な介護者が
  「盗んだ」と訴えるようになると理解されています。さらに進行してエピソード記憶をすべて喪失し
  てしまう時期にいたると、「物盗られ妄想」は影をひそめます。薬によってある程度太刀打ちでき
  これ以上症状が進まず、介護の負担も軽減します。
   レビー小体型認知症の中心症状は幻視です。後頭葉の血流低下により、相対的な機能亢
  進が起こります。たとえば動画的な認知をする頭頂葉においては虫が飛んでいる幻視が見え
  たりします。側頭葉は静止画的な認知ですので、たくさんの顔が浮かんでいるような認知がさ
  れます。正常な認知では、頭の中に記憶されている画像(出力画像)と、今見えている画像記
  憶(入力画像)を照らし合わせて、視覚認知のところにその人の顔が浮かびます。レビー小体
  型認知症の場合このバランスが崩れ、入力画像が減少して出力画像が暴走し、幻視になって
  くるといわれています。まずは抗精神病薬の投与ではなく、認知機能の調整によって治療する
  というのが、今のスタンダードなやり方です。